雑誌トリビア

ウルトラ・ダラー」の著者・手嶋龍一氏は、実はスパイ?!--「Goethe」6月号

 

ウルトラ・ダラー

ウルトラ・ダラー

 インテリジェンス小説と言われる「ウルトラ・ダラー」は、北朝鮮の偽造紙幣と東京というリアルな題材を取り上げた限りなくノンフィクションに近いドキュメンタリー小説。
 NHKのボン支局長の時もワシントン支局長の時もジャーナリストを天職のように貫いた手嶋氏が久しぶりに描いた本は、現実に拉致被害者が目の前に存在してもなかなか認めることの出来ない、ノーテンキな国民となりつつある、私たちに現実の国際社会で起きていることを啓示する「ウルトラ・ダラー」でした。
 各国の情報収集と分析という仕事は、まさにジャーナリストの仕事であり、そのままスパイの仕事…。確かにアウトプット…つまり、誰に伝えるのか、誰のために働くのかが異なるぐらい差しかありません…。だからこそ、ジャーナリストに徹した手嶋氏だからこそ見えてくるスパイの仕事も存在しえると認めざるを得ません。
 「Goethe」では、手嶋氏がスパイとして登場したことのある小説として、高村薫氏の「リビエラを撃て」(新潮社刊:新潮文庫)をあげています。作中の英国諜報部員”手島修三”のモデルこそが手嶋氏だと。…特集中で示されるワシントン特派員時代に特別なニュースソースを得るためにした苦労話や努力、そして”決定の瞬間 —記録されていたキューバ危機—”等のすぐれたドキュメンタリーが、さもありなんと、裏付けしてくれています。

最大コミュニティ型百科事典”ウィキ”の生みの親--「Goethe」6月号

 ”wiki”とはハワイ語の”クリック”、エンサイクロペディアの”Pedia”の語源はギリシャ語、つまり”ウィキペディア”とは、その活動、思想と同様にグローバルな造語。ウィキペディアンと呼ばれるボランティアの編集者同士を繋ぎ、モチベーションを維持していくためのマネージメントは、正直、半端ではないはずです。コミュニティに求める優しさと敬意を実現しようとするこのプロジェクトは、まさに人を信用するところからしかはじめることのできないものです。この偉大なプロジェクトの生みの親は、意外にもその顔どころではなく、名前さえもがしられていなさ過ぎる気がしていたのですが、「Goethe」6月号の誌面で始めてご対面。奥さんは日本人とのハーフで東京育ちというのには、驚きでした。
 創設者はジミー・ウェールズ氏とラリー・サンガー氏のふたり。でもサンガー氏はプロジェクトの発足から1年数ヶ月賃金の支払いを受けた参加者であり、真の創設者はプロジェクトの出資者であるウェールズ氏であることは日本語販”Wikipedia”からも読み取ることができます。分裂、論争とさまざまな問題の後、2002年8月にジミー・ウェールズ氏がウィキペディアでは今後一切商業広告を行わないという方針を発表。2003年6月20日よりプロジェクトに法人格を与えるべく、ウィキメディア財団 (Wikimedia Foundation, Inc.) が設立したとされていますが、アメリカではサーバの負担が深刻な問題になっており、課金制も検討されているようですが、結論はまだまだ見えません。日本版は大丈夫なのかな?