今日チェックの気になる本・特集

論座 2006.8月号(2006/7/5)

 ■谷川流 「涼宮ハルヒ」シリーズ *[ライトノベル][2006アニメ化]
  2003年刊行開始 現8作 6月累計250万部
  
  ライトノベルの手法や”セカイ系”などと呼ばれるオタクたちの自閉的創造力を
  パロディー化した技巧的な設定を導入しながらも、物語としては安定感があり、
  作家の力量を感じさせる。 SAY東浩紀

  ▲「ライトノベルの本質は、人間描写の特異性にある。
  ライトノベルは登場人物を内面をもった固有の存在としてではなく、
  外見と性格の組み合わせで指定する。
  その背景にあるのは、マンガやアニメが長い時間かけた作り上げてきた、
  キャラクターのデータベースである。
  たとえば、いまの若い読者のあいだでは、黒髪の少女ならこういう性格、
  眼鏡をかけて長髪の少女ならこういう性格といったパターン(テンプレート)が共有されていて、
  多くのライトノベルはその知識を呼び出して書かれ、読まれているわけだ。」SAY東浩紀

 ■小泉構造改革とはなんだったのか
  ・小泉政権は2001年4月に誕生 
  ①廣造改革なくして経済成長なし”を合言葉に、
   国民を喚起させ小泉ブームを作り、閉塞感を打破したのは●
   →ただし構造改革というのは総論なので今後は意味のない言葉になり、
    具体的な改革案が求められる
   →プライマリーバランスを2011年までにゼロにするための歳出カットや消費税引き上げは??
    国民にとっての公共サービスをどうしていくのかが問題
  ②机上の空論に終わる可能性が大いにあった”橋本行革”を実現した
   経済財政査問会議は2001年の橋本行革で考案されたが、活用したのは小泉政権
   →政策決定の仕組みを変えた
  ③郵政民営化
  ④ポスト小泉のこれからの課題は…すべてにおける加速と中期計画をしっかり立てること
   →ただし経済の新陳代謝は止めてはいけない。
    生じるひずみをどうするかは、制作の課題。

今日は寝不足、ハイテンション!

*第135回芥川賞候補作と直木賞候補作の発表について…
 昨日、第135回芥川賞候補作と直木賞候補作が発表されました。
 忘れてた訳ではないのだけれど、覚えてなくて(?!)
 昨日は必死…なところへ、パソコンが深夜に3回もフリーズし…
 おかげで殆ど徹夜状態なので、なんだか朝からナチュラルハイ…です。
 候補作については、”ブック・レビュー・ガイドb”の方でまとめてみましたので、
 そちらを参考にしてみていただくとして…
 ■”ブック・レビュー・ガイドb”のTOPページ
 今回の集英社講談社も光文社もどちらも2つの賞に関れないという自体には、ちょっとビックリ。
 この作品よりはあの作品が…というのはよくある話ではあるので、
 言ってもしょうがないのでしょうが…。
 直木賞候補の伊坂幸太郎氏の「終末のフ−ル」(集英社刊)はだめだったのかな?
 文芸誌といえば…「新潮」(新潮社)「文學界」(文藝春秋
 「すばる」(集英社)「群像」(講談社)「文藝」(河出書房新社)の他にも
 「オール読物」(文藝春秋)「小説現代」(講談社)「小説新潮」(新潮社)
 「小説推理」(双葉社)「小説すばる」(集英社)「小説宝石」(光文社)「野性時代」(角川書店)等や
 「SFマガジン」(早川書房)「ミステリマガジン」(早川書房)の専門誌があり、
 「ミステリーズ」(東京創元社)、「GIALLO」(光文社)等も在ります。
 「papyrus」(幻冬舎)はカルチャーエンタメに属するのでしょうか?
 「メフィスト」や「ファウスト」(共に講談社)入らないのでしょうか?
 「B-Quest」(文芸社)は???
 「新潮」は確かに気合が入っていたから、頑張りはわかる…
  だったら、候補作が増えてもいいのから一緒に賞を楽しんでもいいのでは?と思う私が甘いのか?
 どうせやるならみんなで一緒の方が迫力が増す気がするのだけど、
 世の中そんなに甘くはないのかな?
 なんだか引っかかる…。

 
 個人的には、今度こそ伊坂さんに取って欲しいのだけど・・
 今回はバラエティに富んだ強豪候補が多く、少々心配です。
 森絵都氏は児童書の時から読んでるし…三浦しをん氏も貫井徳郎氏も気になる・・・
 う〜ん…もらえるかな?
 
 

雑誌トリビア

ウルトラ・ダラー」の著者・手嶋龍一氏は、実はスパイ?!--「Goethe」6月号

 

ウルトラ・ダラー

ウルトラ・ダラー

 インテリジェンス小説と言われる「ウルトラ・ダラー」は、北朝鮮の偽造紙幣と東京というリアルな題材を取り上げた限りなくノンフィクションに近いドキュメンタリー小説。
 NHKのボン支局長の時もワシントン支局長の時もジャーナリストを天職のように貫いた手嶋氏が久しぶりに描いた本は、現実に拉致被害者が目の前に存在してもなかなか認めることの出来ない、ノーテンキな国民となりつつある、私たちに現実の国際社会で起きていることを啓示する「ウルトラ・ダラー」でした。
 各国の情報収集と分析という仕事は、まさにジャーナリストの仕事であり、そのままスパイの仕事…。確かにアウトプット…つまり、誰に伝えるのか、誰のために働くのかが異なるぐらい差しかありません…。だからこそ、ジャーナリストに徹した手嶋氏だからこそ見えてくるスパイの仕事も存在しえると認めざるを得ません。
 「Goethe」では、手嶋氏がスパイとして登場したことのある小説として、高村薫氏の「リビエラを撃て」(新潮社刊:新潮文庫)をあげています。作中の英国諜報部員”手島修三”のモデルこそが手嶋氏だと。…特集中で示されるワシントン特派員時代に特別なニュースソースを得るためにした苦労話や努力、そして”決定の瞬間 —記録されていたキューバ危機—”等のすぐれたドキュメンタリーが、さもありなんと、裏付けしてくれています。

最大コミュニティ型百科事典”ウィキ”の生みの親--「Goethe」6月号

 ”wiki”とはハワイ語の”クリック”、エンサイクロペディアの”Pedia”の語源はギリシャ語、つまり”ウィキペディア”とは、その活動、思想と同様にグローバルな造語。ウィキペディアンと呼ばれるボランティアの編集者同士を繋ぎ、モチベーションを維持していくためのマネージメントは、正直、半端ではないはずです。コミュニティに求める優しさと敬意を実現しようとするこのプロジェクトは、まさに人を信用するところからしかはじめることのできないものです。この偉大なプロジェクトの生みの親は、意外にもその顔どころではなく、名前さえもがしられていなさ過ぎる気がしていたのですが、「Goethe」6月号の誌面で始めてご対面。奥さんは日本人とのハーフで東京育ちというのには、驚きでした。
 創設者はジミー・ウェールズ氏とラリー・サンガー氏のふたり。でもサンガー氏はプロジェクトの発足から1年数ヶ月賃金の支払いを受けた参加者であり、真の創設者はプロジェクトの出資者であるウェールズ氏であることは日本語販”Wikipedia”からも読み取ることができます。分裂、論争とさまざまな問題の後、2002年8月にジミー・ウェールズ氏がウィキペディアでは今後一切商業広告を行わないという方針を発表。2003年6月20日よりプロジェクトに法人格を与えるべく、ウィキメディア財団 (Wikimedia Foundation, Inc.) が設立したとされていますが、アメリカではサーバの負担が深刻な問題になっており、課金制も検討されているようですが、結論はまだまだ見えません。日本版は大丈夫なのかな?

知ってる?パソコンテレビ”Gyao”

何かと話題のUSENがやっている、ひとつのメディア媒体。

 最初は全然面白いコンテンツはないし、ニュースもいまいちだし・・・、
 しかも途中で切れたりしてみにくかったのだけど、
 最近、意外にも見れるものが増えてきた気がします。
 ・・・というのも、開局一周年記念完全オリジナルドラマ
 ”私の頭の中の消しゴム アナザーレター”にちょっと嵌っていたから。
 このドラマは、タイトルからもわかるように、
 新しい記憶を少しずつ失い、過去へと戻っていく
 ”若年性アルツハイマー”になった”紗季”をめぐる物語。
 幼なじみで初恋の相手の”圭介”と商社マンの新しい恋人”周一”に見守られ、
 幸せで・・・だからこそ辛くなっていく・・・
 現在の”紗季”は”周一”を愛している、
 なのに過去に戻ることを止められない”紗季”は、
 過去に付き合っていた”圭介”との思い出と混乱し
 ”周一”を傷つけてしまっていることに苦しむ。
 今の紗季の心には周一しかいないことを知りながらも、
 少しでも過去に戻った紗季と一緒にいたいと願う”圭介”・・・。
 一度は”周一”との別れを決断した”紗季”。
 でも”周一”と一緒にいたくて、
 ”圭介”の優しさを借りて最期まで一緒にいることを選ぶ・・・
 原作ドラマ”PureSoul〜君が僕を忘れても〜”(読売テレビ制作)や、
 そのドラマを原作とした映画”私の頭の中の消しゴム”のアナザーストーリーになる今作は、
 純粋な3人の恋愛を描き、なかなか見応えがありです。
 理由のひとつに、ヒロイン”宮下紗季”を香椎由宇氏、”松本圭介”を田中圭氏、
 ”成瀬周一”を袴田吉彦氏と・・・
 主役クラスではないにしてもキャスティングがいいこともあると思われます。

 
 テレビのチャンネルもどこまで増えていくのかわからない中で、
 ましてや中途半端なパソコンテレビの存在がどこまで波及するかは不透明だけど、
 番組がもう少しきちんとしたら(特にニュース系)、価値がアップする気がします。
 なんといってもパソコンの普及率は半端ではないのですから。

 
 現在は、桜庭一樹氏の「少女には向かない職業」(東京創元社刊)を原作とした
 同名ドラマが気になる存在・・・
 家庭環境が複雑な中学生の女の子を主人公とした殺人の物語なだけに、
 前ほど感情移入はできないのは難点ですが・・・。

 
 もともとは美容院で教えてもらった”Gyao”。
 これからどう進歩していくのかちょっと楽しみ。
 ちょっと覗いてみませんか?
 お試しはこちらから。”Gyao”:http://www.gyao.jp/

気になる雑誌の特集

「Hanako」 6/22号 ”いつか生まれる あなたと私のこどものために”

 ついに「Hanako」も”こども”がテーマ?
 考えてみれば、第一次”Hanako”世代はとっくに30代どころか40代?
 考えてみれば、当たり前か・・・。
 ”子ども”というよりは、幸せな家族紹介という感じ。
 確かに、幸せな予感がなくては、産む気にもなれないとは思うものの、
 もう少し覚悟も伝授しとかないと、無責任MAMAが急上昇してしまうのでは?
 何かを諦めなくては、子どもとの時間は取れないし、
 子どもは時間とお金食い虫だし、それが仕事。
 共稼ぎを体よく薦めても、本当に実現できている人は極々一部だという現実も
 認識する必要があると思う。
 だって子どもは究極の”生もの”なんですもの。
 かわいいけど、育てる責任もど〜んと重いのです。
 中途半端な気持ちで親になられた方が子どもは迷惑なはず。
 親に対する教育も出来ていないのに、無責任に産め産めと言われても・・・
 幸せな記憶をひとつも持たずに死んでしまう子どもが増えてしまうのではと、
 心配です・・・。
 
 

今日のチェック本

「花はさくら木」辻原登朝日新聞社刊)

 2005年4月17日〜11月27日まで「朝日新聞」連載された江戸中期の時代小説。
 1761年の春〜秋という物語の時間と連載当時の時間や季節感は並行しており、
 現実の事件と物語の中の事件が重なるように描かれ、
 女性の皇位継承問題と皇室典範改正の審議、戦後150年と60年・・・
 と250年の時を越えて交差する、時代小説の形をとった現在批判小説。

夜の公園「夜の公園」川上弘美 (中央公論新社)

「恋愛のさなかにある怖さ。」と川上氏のいうこの嫌な感じは、
 破綻の予感を感じながらもどうしようもない戸惑いに似てる。
 知りたくないけど知っている居心地の悪さ・・・
 自分の中の感情の変化を自分自身が戸惑ってしまう・・・
 登場人物は・・・35歳の主婦”リリ”、夫”幸夫”リリの親友で幸夫の愛人の”春名”
 そして春名の別の恋人”悟”・・・
 語り手が変わっていく9章は、正直重い・・・。
 誰だ?川上氏が爽やかだと言ったのは?
 でも読まさせられてしまう・・・怖い小説だ。
 
 
 

 

今日の反論

論座」7月号

 教育基本法の改正案に基づく54人の54通りの”愛国心"考”私と愛国心”特集
  香山リカ氏のコラム”日本っていい国?”
 昔は好きだったこの人の文章に、違和感を感じ始めたのはいつだっただろうか?
 ”愛国心”が教育基本法に登場するのが間違いだという、最終意見は同感。
 でも、彼女が言う「日本って本当にいい国ですね。この9人に生まれてよかったです。」と
 心の底から言えるような社会には、待っていてもいつまでまってもなるわけがない。
 しかも彼女の着眼点は、医療費の負担増加や診療報酬改訂でのリハビリ日数制限への不満。
 確かにそれぞれに問題はある・・・だけど、そのレベルの不満はいくつ解決しても終らない・・・
 しかも不満を言うだけでは世の中は変わらない。
 いい国じゃなければ、いい国にするように努力すめきなのではないの?
 なんでもかんでも人任せでは進歩しないし、いつまでたっても幸せにはなれない。
 せっかく論客のひとりとして意見を求められているのだから、もっと考えて発言して欲しい。
 有名人になったらなっただけの責任というものが存在する気がする。
 そうしないと、本当に日本はあぶない・・・

 例えば秋田の小学生・米山豪憲くんの殺害事件、港区のエレベーターの痛ましい事故、
 村上世彰代表の投資ファンドインサイダー取引疑惑に
 芸術選奨文部科学大臣賞受賞の洋画家・和田義彦氏の盗作疑惑・・・
 これらの山積みな情けなくなる事件もすべてが人のせい?時代のせい?
 そんなこといっていたら、誰も幸せになれなくなってしまう。
 ”愛国心”等と口にしなくとも、心に持つことのできる環境にするには、
 守りたいものをきちんと意識させることが必要なのではないでしょうか?
 今回の論客?の中で一番親近感を感じたのは、中島梓氏の”理解によってはじまる”。
 >>・・・私は日本の芸術と文化とは世界に冠たるものだと思います。
 日本の四季ほど美しいものはなく、かつての日本人の心ほど雅びで優しいものはないと思っています。
 それが生み出した独自の芸術をこよなく愛しています。
 私の「愛国心」はこのような具体的な根拠を持っています。
 このように素晴らしい文化だから守りたいし、継承し発展させたい。・・・
 ・・・なすべきことは、「日本」への正しい愛情を取り戻し、「日本」の伝統についてもっと知り、
 本来の日本への教養を常識とさせることです。・・・
 ・・・日本に満ちている拝金宗と功利主義、利己主義と非常識と無教養をそんおままにしておいて、
 何が愛国心教育か。「いまの日本」を愛せる人間はそこでいまい汁を吸っている輩だけです。
 美しい日本への敬意と認識を取り戻されなくてはいけない。
 そのときはじめて、欧米の文化をも正しく受け入れ、世界と対等になることが出来るはずです。
 本当の愛国とは「日本を知り、愛すること」であるはずです。<<
 ・・・ドーンと文句?を言うのならば、このぐらいの迫力で的確に言いたいものです。


 他にも、
 拉致問題ハンセン病水俣病などの国の対応を思うと
 藤井誠二氏の”こんな冷たい国では「嫌国」される”も考えさせられ、
 保阪正康氏の>>・・・いつの時代にも言えることだが、声高に愛国心とか愛国主義を叫ぶのは、
 よほど自らに自身のない人たちの所業であることだけは確認しておきたいのだ。<<や
 鈴木宗男氏の。>>・・・一般論として、勇ましいことをいう人間は、
 危機的状況に直面すると真っ先に逃げ出す。
 声高に愛国心について叫ぶ政治家が日本人と日本国家をどれだけ本気で愛しているのか、
 私は疑問に思う。繰り返しになるが、私は家族、郷土、祖先、子孫という身近な愛から始まる
 静かな愛国心が好きだ。<<等もわかりやすく好感が持てる気がしました。
 (鈴木氏っていい人だったの?と今更ながらに思ってしまいました。)


 拉致問題を始めて知った時、
 好きだっただけに日本にがっかりしたことを思い出します。
 日本は助けてくれないんだ・・・と、本当にがっかりした・・・。
 地震や自然災害が怒る度に、救援は来ても3日後・・・と
 絶望的な孤独感を感じさせられました。
 特に阪神大震災は、なまじ存在が近かっただけにショックでした。
 あまりの孤独感に結婚しちゃおうかと思ったほど、愕然としました。
 とっても一人では両親さえも掘り起こせない・・・。
 一緒に掘ってくれる人を見つけなきゃ・・・と、
 かなり、極端で自分勝手な思いでしたけど。
 (しかもその後、一緒にいても寂しい最悪な気分も個人的には学んでしまいました・・・)

 自然災害が起きるのはすぐには止められない。
 だけど人為的な問題は・・・別。
 やればできることなはずなのに、まだまだ解決の糸口さえも見つからない・・・


 それならば、せめて自分の周りだけでも幸せな気分にしたいと望むのも
 もしかしたらエゴ?
 それでもひとりひとりのできることから、諦めずにいたい・・・。
 不満を言うのではなく、元気になれる解決策を考えたい。
 ちょっと理想論・・・。でも本音。